第41回岐阜県農業高校生海外実習派遣団をお迎えして! (2)
農業高校生海外実習派遣に参加された方々のブラジル体験をご報告させて頂きます。
16歳から18歳までの10人の農業高校生は、八束功子(やつかのりこ)(団長)と足立伸幸(あだちのぶゆき)(副団長)の2人の教師に引率されて、アメリカで6日間過ごした後、ブラジルへ来られて7日間、その後、ドイツ及びオランダで4日間を過ごされるそうです。
私はそのうちの5日間、7月28日(土)から8月2日(金)までを共に行動させて頂きました。
7月27日(土)午前9時30分、サンパウロ市グアルーリョス空港で長屋会長が御一行を出迎えました。日系パラセ・ホテルでチェックイン後、サンジョアキン街のブラジル日本文化福祉協会の日本移民史料館、イビラプエラ公園内の日本館、パウリスタ大通のジャパン・ハウスを見学されました。
翌28日(日)、ブラジル岐阜県人会の有志19人とオランブラ市内のゲルベラ花栽培園、ひまわりの栽培畑、オランブラ市移民資料館を見学。ひまわりは小鳥の餌用に植えられているそうです。帰路、東山農場に立ち寄り、コーヒー豆の日干しを見学、農場の展望台からコーヒー畑や近隣の町、車道を眺め、NHKのドラマ「ハルとナツ」のロケーション場所を見学しました。さらにコーヒーと葉を分ける仕事の実演も見て、高校生らもコーヒーと葉を実際に分けたりしました。コーヒー豆と葉の入ったふるいを手前に引いて高く投げることが、コツだそうです。
29日(月)から30日(火)の2日間はレジストロ市に滞在しました。月曜日の午前中、サンパウロ市のCEASA(CEAGESP:Companhia de Entrepostos e Armazéns Gerais de São Paulo)を見学して、曲尾さんのバナナ問屋に温かく迎えられ、バナナの種類、購入、輸送、成熟、販売などについて細かい説明を受けました。
その後、ミラカツ市の江尻竜之介さんのピラルク淡水魚の養殖場を見学して、稚魚の購入、輸送、養殖、販売について丁寧な説明を受け、安くて高品質な魚肉を市場に配達するための苦労話などを聞かせてもらいました。高校生の一人が出荷直前のピラルクを江尻さんと一緒に持って、重さと大きさを体験しました。江尻さんがピラルクの刺身、ジュサラ椰子の芯のサラダ、シュラスコなどを御馳走してくださいました。
午後にはレジストロ市に到着。同地の文化協会で佐々木サトルさん、曲尾エライネさん、川越エイゾウさん、山成ミリアンさん、高橋クニヒコさん、福澤一興さん、清水たけしルーベンスさん、清水ハルミ・リーナさんなどに温かく迎えられました。Bairro Raposa会館で池辺パウロさんがレジストロ市の入植について、当時の写真を交えてお話して下さり、福澤さんが日本語で通訳して下さいました。その後、清水たけしルーベンスさんが森林農業Sistema Agro Florestalを見せてくださり、高校生らはCanela Pretaの記念植樹をしました。
そして、高校生10人が4家庭でホーム・ステイを経験しました。私も同行した高橋クニヒコさん宅では、実習生5人と引率教師、清水ハルミ・リーナさん、長尾昇ジョージさん達に牛肉のスキ焼を御馳走して下さいました。皆、それぞれのお宅で思い出深い日々を過ごされたことでしょう。
- ホームステイ先: 佐々木さとる氏宅
専門: 観賞植物- 渡邉凛(わたなべりん)
- 市原季保(いちはらりほ)
- ホームステイ先: 曲尾エライネ氏宅
専門: バナナ園- 臼井美里(うすいみさと)
- 武藤小春(むとうこはる)
- ホームステイ先: 山丸ミリアン氏宅
専門: お茶、ジュサラ椰子- 山田泰輝(やまだたいき)
- ホームステイ先: 高橋クニヒコ氏宅
専門: 水牛、蜜柑農場、バナナ園- 五十川諒一(いかがわりょういち)
- 安部悠(あべはるか)
- 纐纈仁志(こうけつひとし)
- 大西竣介(おおにししゅんすけ)
- 櫻元千遥(さくらもとちはる)
30日(火)、男子高校生5人、引率教師、高橋クニヒコさん、レジストロ市の日系人や長尾昇ジョージさん達は、午前中は水牛牧場を見学。 牛乳を機械的に絞る現場を視察しました。 高校生3人は水牛に乗り、手で触れる事が出来る近距離で、柵なしで水牛を見ることが出来ました。 高橋クニヒコさんがエスペット・コリードのシュラスコを御馳走してくださり、ブラジルの牛肉のシュラスコを高校生らは腹いっぱい堪能されたことでしょう。 午後には、川越エイゾウさんの蜜柑農場を見学して、2箱の蜜柑の収穫を体験。 蜜柑のパッキングを見学しました。 洗浄剤と水をふりかけて洗い、乾燥させ、磨いて、大きさに分けて、箱に入れます。 その後、バナナを植えるためにバナナ園へ行きましたが、雨が降り出したため、中止して、天谷りょうごさんのお茶工場を見学しました。 最初に建てられた家を訪れて、初期移民の生活を思いやりました。 レジストロ文協でミーテイング後、夕食は川越エイゾウさんがピザを実習生や引率教師、レジストロ市の高校生たちを接待し、ご馳走されました。 さらにブラジルのお土産を高校生や引率の教師たちに贈呈されました。
31日(水)はホテルでの朝食後、モジ・ダス・クルーゼス市へ向けて出発。 幸いにも早く着いて、高校生や引率の先生方はスーパーマーケットで買い物をし、ゆっくり昼食をとることができました。 午後1時からは松田典仁社長のMN Propolisで、梅崎ジェッフェルソン営業課長から蜂のプロポリスや密の製造について説明を受けて、工場内も見学しました。 プロポリスや密の贈呈も受けました。 その後、サンパウロ市の中央市場Mercado Centralを見学。 ブラジルで販売されているフルーツの味見をして、たくさんある調味料なども紹介され驚かれた様子でした。 日系パラセ・ホテルへ戻ってから、高校生や引率の先生方はブラジルのお土産等を買いに行かれました。
8月1日(木)午前5時半、ホテルを出発し、砂糖・エタノールを生産するマカツバ市サンジョゼ工場を視察に向かいました。 少々、遠いので早朝の出発で朝食もバスの中で食しました。 エタノールとは、自動車燃料のアルコールの別名です。 砂糖・エタノールのエネルギー生産工程の説明を受け、コーヒー・ブレークでは砂糖キビの搾り汁を味わいました。 その後、砂糖・エタノール生産工程の外観を見学。 工業工程コントロール・センターを視察して、テレビモニターで、実際の生産工程も見る事ができました。
サンジョゼを離発後、バス内で昼食をとりながら、ピラシカーバ市のサンパウロ州立大学のESALQ(Escola Superior de Agricultura“Luiz de Queiroz”ルイス・デ・ケイロス農業大学)に到着。 城田リカルド教授に温かく迎えられ、ルイス・デ・ケイロス農業大学設立の経過、歴史、研究分野、サンパウロ州立大学設立の経過とルイス・デ・ケイロス農業大学との関係などについて詳細に説明を受けました。 キャンパス内を見学して、パウ・ブラジル(Pau Brasil)の木について説明を受けました。 ブラジル国発見当時、パウ・ブラジルの木から赤い染料を抽出して、布を染めていたそうです。 木の幹を削って、赤い幹を見せてくれ、雨季には赤い汁が流れ出すとのことでした。 高校生たちはベンガル・ボダイジュ(インドに産するクワ科イチジク属の常緑樹:枝から多数の気根が地に伸び、1株でも小さな林のようになる)を珍しそうに見ていました。 ブラジルではベンガル・ボダイジュをよく見かけますが、熱帯植物ですから岐阜県にはないでしょう。
日系パラセ・ホテルへ帰ってから、高校生や引率の先生方と県人会のメンバーたちは、夕食を共にとりました。 ブラジル農業について、懇親会で大森さんが詳細に説明して下さいました。
翌2日(金)、長屋会長が高校生や引率の教師たちとJICAを訪問し、高校生や引率の先生方は初めてブラジルのショッピングセンターを見学しました。 短いブラジル滞在でありましたが、農業高校生の皆様方は各所で活発に質問されて、農業や工業について数多く学ばれたことと思います。
ブラジル国土の広大さ、多様性にも驚かれていて、農業高校生らがブラキチになったり、農業移住者になったらいいなと思っています。 この農業高校生海外実習派遣事業が継続されることを切に願っています。
昼食後、長屋ベッチさんと長尾昇ジョージ理事は、午後6時にサンパウロ市グアルーリョス空港発のルフトハンザ航空に搭乗する高校生や引率の教師たちを見送りました。 無事、次の研修地でも素晴らしい体験を積まれることを楽しみにしております。 来年も意欲あふれる岐阜の農業高校生らをブラジルに迎えられることを祈念して。
(原稿:岐阜県人会理事 長尾ジョージ昇)
郡上踊りをパウリスタ大通り歩行者天国で披露!
8月11日(日)はブラジルでは父の日でしたが、ブラジル長崎県人会と広島県人会の合同平和式典のイベントに招かれて、サンパウロ市のメインストリートであるパウリスタ大通りにて午後2時30過ぎから郡上踊りをメンバーと踊らせて頂きました。
7月に川添ブラジル長崎県人会長からお話があり、毎土曜日の午後3時より、長崎県人会館を利用させて頂き、新しいメンバーも増え、練習を重ねてまいりました。 メンバーの中には若手のブラジル岐阜県人会の会員さんで、マルコス大野さん、ソニア佐久間さんも参加され、それに長崎県人会の会員さんや健康体操の会員さんも加わり賑やかな練習となりました。 初心者の方も多く、第一人者の橋詰理事の指導のみならずメンバーの長尾理事、Lo Akimituさんもベテランとして初心者指導され、郡上踊りも着実にブラジルの地に定着してきたなと感じました。
ここでひとつ問題がおきました。 それは浴衣の扱いについて、洗濯代に一着R$60,00(¥1.650相当)かかるのです。 数も多く、毎回、県人会が負担できる額ではありません。 申し訳ないのですが、参加希望の方に自己負担して頂くことになりました。
長崎県人会の方々は自前の浴衣、健康体操の方々はハッピを着て踊ることになり、総勢50名程の上演となりました。 2時間前にパウリスタ大通りにあるJAPAN HOUSEの3階に集合。 3人の方に浴衣の着付けにお願いをして帯を巻いてもらったのですが、やはり時間がかかりました。 男性の帯は経験がなかったそうで、YOU TUBEを見ながら巻いて頂きました。
どうにか時間に間に合いましたが、今度は野外の音響に問題があり、かなり待たされて3番目の出番のはずが、最初の上演となりました。 日曜日の歩行者天国で、人々がごった返す中、たくさんのブラジル人の喝采を浴びることができました。
今回、海外でのこうした大舞台で、たくさんの観衆の中、岐阜県の伝統行事を紹介させて頂き、県人会としての重要な役割を果たすことができたと、関係者各位喜んでおります。
また、今回特筆できるのは、若手の会員さんの参加があり、やはりこうしたイベントというのは、先の日本祭り、JAPAN HOUSEでのプレゼン然り、県人会活性化の一つであると証明しているかのようです。 改めて、これからもどんどん参加していこうと気を引き締めています。 県人会はどうあるべきなのか、県人会とは何なのか、と頭で考えるより、先ずこうした行動を通じて実行していくことで、おのずと答えが出てくるものだと、確信しておりますが、如何でしょうか?
(原稿:岐阜県人会会長 長屋充良)
2019年8月の出来事
- 1日
- 農業高校生実習派遺団がアルコール会社ZILOR/LORENZETTI – LENÇOIS PAULISTAとUSP/PIRACICABAを訪問。
- 県人会員と農業高校生実習派遺団の親睦ディナー。
- 2日
- 農業高校生実習派遺団、ニッケイ新聞とJICAを訪問。
- 6日
- Receita Federalに新しい役員を登録するためにSOME会計事務所へ議事録と参加者名簿を貸し出す(Para emissão de Certificado Digital)。
- 9日
- 絵画展委員のメンバーらが印刷する作品を選ぶための会議を行なう。
- 領事館から絵画展の書類再記入の要求があり、書類をメールにて送付。
- 6月号の会報原稿を編集者に送る。
- 14日
- 県人会のメールアドレスを変更。新しいメールは [email protected]
- 15日
- 絵画展委員のメンバーがフォルダー作成の会議。
- 21日
- 8月定理理事会。
- 23日
- 6月、7月分の会報を郵送
- 27日
- UBIKとの契約をキャンセル。最後の支払いは10月15日でメール利用も10月14日まで。新メールアドレスへ転送。
- 28日
- 領事館へ外務省共催名義使用許可書契約書と参加画家の略歴書を届ける。
2019年8月定例理事会議事録要旨
- 日時: 2019年8月21日 定例理事会 午後5時~
- 出席者: 長屋充良会長、日比野健一会計理事、橋詰二朗理事、 大野美夏理事、日比野亘理事、佐久間ソニア会員
- 審議内容
- 日本祭りとジャパンハウスのプレゼンの収支決算報告
- 7月の出来事と会計報告をし、承認される。
- 次回理事会より若手会員の参加を促すように、第3土曜日15時よりと日程を変更する。
- 第41回岐阜県農業高校生海外実習派遣団の実習が無事終了したことを報告。
- 他県人会との交流強化の為、コラボで運動会イベントを企画する為の会合の経過を報告。
- 大野美夏理事が郡上市長と県庁・崎浦観光局長との面談を報告。日本祭りでの2回にわたる郡上踊り公演録画DVDと公演者、ブース参加ボランティアの写真をパネルにして贈呈。
- 来年度の組織編成における事項の協議。
- 次回の理事会は9月21日(土) 15時~