会報 2018年09月

ブラジル岐阜県人会がレジストロを訪問

レジストロ市と中津川市姉妹都市提携の発端は、1978年7月22日、岐阜県議会員伊藤薫氏が来伯された折に、中津川の小池保市長から託されたメッセージを安田会長へ手渡されたのが始まりでした。

小池市長はサンパウロ州の都市と姉妹提携をしたい意向を述べられており、県人会で協議した結果、レジストロ市を候補都市として小池市長へ推薦のご連絡を致しました。

1979年1月31日、安田庄吉会長、山田彦次理事、丹羽勇理事が事前交渉のため、ジョゼ・デ・カルヴァ―リョス市長と面談し、非公式ながら中津川市の意向を伝え、事務レベルの交渉がここから始まりました。 こうして、両市間の協定に向けた準備が始まりました。

レジストロ文協

1980年8月4日、県人会より安田会長ら7名の案内で、中津川市より小池市長、酒井公雄・岐阜県議会議員のご一行がレジストロ市を訪問。 中津川市・レジストロ市姉妹都市の調印式は、両市長が署名。 酒井議員が立ち会うもとで成立しました。

このように日本側からの依頼で姉妹都市提携が結ぶに至ったのは、数少ないケースではないでしょうか。

県人会が仲人役を務め、双方から感謝され、姉妹都市協定が結ばれてから今年で38年目を迎える事になりました。

このお目出度い、レジストロ市・中津川市姉妹都市記念式典に出席するため、ブラジル岐阜県人会は、慶祝団を結成し、去る10月20日より一泊2日のツアーを実施しました。

県人会事務所のビル前より、午前7時半にマイクロバスに乗り込み、一路レジストロ市へ向かって出発。

国道116号線(BR116)は殆んど車の渋滞もなく、サンパウロ市から90km地点のジュキチーバ市を過ぎると、バスはカフェザール山脈を下り始めました。 「昔は二車線道路で、大型トラックの走行量も多く、緊張の連続で神経を尖らしながら運転していた」と、ドライバーの言葉が蘇ってきました。 それが今では、見違えるように整備された立体交差のハイウェー道路になり山脈の風景も大きく変わったように見えました。

ピラルクー養殖場

途中、バスは本道を外れ、5分程度泥道を通ってSanta Rita do Ribeira地区へ向かって走行。 そこには江尻龍之介氏が営むピラルクー養殖場がある。 ピラルクーとは、南米アマゾン河流域に生息している淡水魚で、成魚は一般的には2~3メートルだそうですが、最大の物は5メートル位にも及ぶと言われています。 同地の気候と地形が養殖に摘すると判断し、事業を始めた江尻氏。 ピラルクーの稚魚はサンパウロ市から4千キロと遠いロンドニア州・ポルト・ヴェーリョ市まで赴き、トラックで片道四日かけて搬入するそうです。

敷地内にはテントを張った水槽が設けられており、「内部は一定の高温度を保ちながら水槽を分離し、飼育工程を変えて行く」と説明がありました。

赤道直下のアマゾンから4千キロも南へ下った環境の違いの中で、見事に事業を成功している江尻氏の努力とその先見の明に、深い感動を覚えた視察となりました。

次の訪問先は、レジストロ市近郷の茶屋農園で、ブラジルや日本のマスコミで一挙に注目を浴びた「おばあ茶ん」。 島田梅・エリザベッチさん(89歳、2世)は長年紅茶の栽培に従事されてきておりました。 好機がやって来たのは、日本の紅茶フェスティバルでグランプリを獲得した愛知県尾張旭市の後藤潤吏(ひろさと)氏の来伯だったそうです。

3週間におよんで同氏より直接指導を受け、製品を改良。 高質な紅茶を生産するに至ったまでの記録を映像で紹介してくれました。 茶摘みの体験を交えながら、工場を見学。 摘み取ったお茶の葉が製品化されて行く作業工程も詳しく説明していただきました。

茶屋農園を後にしたバスがHotel Valle Sulに到着したのは午後4時。 各自は一旦ホテルで休息。 午後6時には、レジストロ文協会館へ到着。 式典の開催予定時間より1時間ほどの遅れとなりましたが、午後7時より、レジストロ・中津川姉妹都市協会が主催する姉妹都市提携38周年、レジストロ日本人入植105周年、日本移民110周年を祝う式典が開催されました。

岐阜県中津川市より青山節児市長、中津川市姉妹都市友好推進協会の杉本潤会長ら17名の公式訪問団に加わり、ブラジル岐阜県人会からは長屋充良会長のもとに編成された慶祝団、13名が参列。

レジストロ市のジルソン・ファンチン市長の挨拶は「3年前に中津川市で受けた感激を、この度の使節団の皆様に感じて欲しい」と述べられました。 引続き、マルセロ・コメロン議会議長より歓迎の言葉があり、大堀寿延中津川市議会議長より返礼の挨拶となり、200人ほどで埋め尽くされた会場は盛り上がって行きました。

レジストロ市姉妹都市協会の高橋邦彦会長からは「中津川市からの多大なる医療設備の貢献で、市民の健康が保たれた事に深く感謝します」と謝辞が述べられました。

青山節児市長、大堀寿延市議会議長、杉本潤姉妹都市推進協会会長らは「2020年東京オリンピック開催の際には、是非、中津川市への訪問を」と要請されておりました。

式典もたけなわとなり、美味しい食事でお腹も満足。 話も尽きませんでしたが、翌日の旅行スケジュールを考慮して、後ろ髪を引かれながらも午後10時にはホテルへと戻る事になりました。

Caverna do Diabo(悪魔の洞窟)

翌日はホテルで朝食を取った後、午前9時にCaverna do Diabo(悪魔の洞窟)へ出発。 途中、Eldorado(エウドラード)市で一時休憩した後、目的地に向かってバスは走行。 平坦だがでこぼこが目立ち始めたアスファルトをまっしぐらに走り続けました。 更に山頂に向かって蛇行しながら細い道を走り抜けるとCaverna do Diabo パークが出現。

私たちのグループには2名のガイドさんが前後に付き添ってくれました。 洞内の入り口で改めて安全対策の説明があり、階段を下り始めると一辺に異様な光景が立ちはだかりました。

鍾乳洞は地面に降った雨水が地下水となり、地中の石灰岩(せっかいがん)の隙間を溶食(ようしょく)・浸食(しんしょく)しながら、数万年をかけて洞窟を形成するそうです。

今回の探検?!は、約600メール程奥までのコースで、人口的に作られたアップダウンの激しい階段を歩いて行くと、壁際に沿った箇所に照明がセットされており、一面の暗闇をほんのりと赤く映し出されて神秘的でした。

細い道を更に通って行くと、天井から垂れ下がっている鍾乳石や地面の至る所に、石筍(せきじゅん=竹の子状に伸びた洞窟生成物)が建ち並んでいる光景は神秘的で、言葉では表現ができないような別世界でした。 壁には長い年月でできた様々な岩盤の模様があり、見つめていると吸い込まれるような錯覚さえ覚えてしまいます。

一番奥深い行き止まりの箇所で、「皆さん、肝試しをしてみませんか?」とガイドさんより提案がありました。

数秒間、照明ライトが消えると周りは一寸先どころか、自分の居場所まで解らなくなってしまいました。 光が一切通らない真の闇の中で、恐怖さえ感じさせるほど、不気味な空間が生まれました。

約1時間半の鍾乳洞の観光も終わり、駐車場近くのレストランで昼食を済ませた全員はバスに乗り込み、サンパウロへ帰路につきました。

途中、Eldorado市で一時停車。 先ほどの洞窟探検での緊張感をほぐす意味やトイレ休憩もあり、30分くらい休憩する事にしました。

Eldorado市の人口は1.5万人(2010年のブラジル国家統計局の調査)と、なんとも変哲のない小さな町です。 町を横断するのにも車で5分とかからず、レジストロ市との距離は57km。 ですが、後ほど知る事になるのですが、一週間後に行われた2019年のブラジル大統領選で当選したJair Messias Bolsonaro氏はカンピーナス市の生まれなのですが、このEldorado市に移り住み、幼年時代から18歳になるまでこの町で過ごしたというのです。 この小さな町がこのわずか一週間後には一躍有名になるとは、その時は誰も知る由もありませんでした。 偶然、一次休憩したEldoradoの町出身のJair Bolsonaro新大統領に今回旅行に参加した皆さんはひょっとしたら親近感を覚えたのではないでしょうか。 新生ブラジルの舵取りをされる大統領にエールをお送りいたします。 Viva Brasil!

国道116号線(BR116)は週末のためか、かなり渋滞し、予定より大幅に遅れ午後9時にサンパウロ市へ到着しました。 皆様、長旅、お疲れ様でした。

(原稿:ブラジル岐阜県人会マネージャー坂野 政信)

 

 

2018年8月の出来事

  • 3日  国際クラブからの寄付金を為替決済「Contrato de Cambio」する為に長屋会長と日比野会計理事のオリジナル書類を銀行へ提出。
  • 13日 第40回岐阜県農業高校生海外実習派遣団の掲載記事がサンパウロ新聞に掲載されたので、岐阜県教育委員会事務局、学校支援課産業教育係(農業)神出建太郎様宛に郵送。
  • 15日 8月理事会開催。
  • 22日 第14回日伯友情交流絵画展のカタログ作成にあたり、山田彦次委員長他、委員会のメンバーが打ち合せを行う。
  • 23日 式典祝儀への礼状郵送。
  • 24日 式典祝儀への礼状配布。
  • 18日 県人会員・高橋好美氏が逝去。
  • 20日 元・県人会員、吉村建明氏が逝去。 (マルセロ吉村氏の尊父)
  • 25日 カーザ・ブラジレイラ・美術館にて、午後14時、アトリエ・オイ展覧会のオープニングセレモニーが開催。 岐阜県商工労働部観光国際局・崎浦良典局長と海外展開係・田中諒主事が出席の為に来伯。
  • 29日 8月臨時理事会を開催。

 

 

8月定例理事会議事録要旨

  • 日時: 2018年8月15日 (水) 午後5時~
  • 出席者: 長屋充良会長、国井宏裕副会長、日比野健一(会計理事)、金子亨資(書記理事)、橋詰二朗(理事)、日比野亘(理事)、坂野政信(マネージャー)、影山六男(事務員)
  • 審議内容
    1. 金子書記理事が7月の業務報告を行い、了承された。
    2. 日比野会計理事が7月の会計報告を行い、了承された。
    3. 記念式典の反省点、改善について
      • 次回は来賓の方に付ける記章を余分に用意する必要がある。
      • 受付の配置を見直す。つまり参加者の記帳の列と奉加帳の列を分けた方が来賓者に対し、親切なアテンドが可能となるのでは!
      • 領収書の発行は後日礼状と一緒に郵送する際に作成すれば来賓者の流れが良くなるのではとの案もだされた。
      • 予想以上の来場者となり、場内にセットされたテーブルは満席状態となり、多くの来賓者の方々のスペース確保が難しくなってしまった。次回は余裕のある式場を調査する必要がある。
      • 昼食の際、場内のスペースが満杯状態となったが、臨機応変に対処した場内担当者の判断によって飲物や食べ物の盛り合わせを運んだのが混雑を免れたと評価したい。
      • 日ポ語の同時司会が速やかに行われた事が評価される。
    4. その他
      • 長屋充良会長より2019年の日本祭りには是非、ブラジル岐阜県人会が参加する事に依り、若い世代の会員達と共に活性化を図って行きたいと提案。
      • 次回理事会 2018年9月19日(水) 17時~

 

 

8月定例理事会議事録要旨

  • 出席者: 長屋会長、國井副会長、日比野会計理事、金子書記理事、橋詰理事、日比野亘理事、大野美夏理事、坂野MG、影山
  • 審議内容
    • 揖斐川マラソンの参加募集は当初の予定人数が確保出来ず(参加希望者3人)本年は見送り、来年はPR形式を替え、再度、募集をかけて実施する方針。
    • 県人会会員の身内の不幸の時、お見舞金の有無と額を定める。
    • 事務局の作業効率化および低減に向け、自動払いの可能について銀行調査を行う。
    • 収入増と経費削減について、精査の必要性が重視され、次週、日比野健一会計理事、橋詰二朗理事、日比野亘理事が内容分析を行う事になる。
    • 経費削減の一環として、月々支払われているコンドミニオの節減、そして日曜日はビルの閉鎖によりイベント開催が出来ない等が上げら、新県人会館を取得する事に関して議論が交わされた。
    • 2019年に県連が主催する日本祭りに、ブラジル岐阜県会会員の参加で実現させる方向で企画案を検討。
    • 次回理事会 2018年9月28日(金曜日)17時~