会報 2020年04月

第2回日本祭り主催者シンポジウム

去る2020年3月14日、ブラジル日本都道府県人会連合会(=県連)および在サンパウロ日本国総領事館共催の「日本祭り主催者」の第2回シンポジウムが、サンパウロエキスポエキシビションエンドコンベンションセンター(São Paulo Expo Exhibition & Convention Center)イミグランテス街道1.5キロメートルで開催されました。3月14日、15日に開催される予定でしたが、コロナウイルスによる災禍がブラジル国サンパウロ州で広がり、多数の参加者の集会は自粛する為に、一日に短縮されました。

第1回シンポジウムは、昨年3月8日、サンパウロ市内ジャパンハウスに於いて、総領事館および県連が共催で開催しました。

第2回シンポジウムの目的は、より多くの団体や地方リーダーと連絡を取り、団結して、刺激し合い、人脈を作り、各団体を発展させ、新しいやり方を模索し、皆一緒になって解決策を考え、日本文化をブラジルに普及し、共同作業のメッセージを伝え、日系社会が催す行事の市場価値を高め、主催者同士の情報•知識•経験の交換を促す事でした。

左側から、長屋ベッチ、長尾ジョージ昇、フルカワ・ダニエル、長屋充良会長(敬称略)

ブラジル各地(Registro, Ivinhema, Valinhos, Centro-Oeste, Rudge Ramos, São José dos Campos, Campinas, Amazônia, Aracaju, Varginha, Londrina, Maringá, Osasco, Itu, Valença, Rio das Flores, Salvador, Paraíba, Vinhedo, Promissão, Dourados, Indaiatuba, Marília, Ribeirão Pires, Rio Grande do Norte, Rio Grande do Sul, Macaé, Americana, Campo Grande, Salto, Goiás, Recife, Vila Carrão, São Paulo)で日本祭りを主催する指導者、県人会代表者、ニッケイ新聞、ニッパク新聞、メキシコ国モンテレイ市で日本祭りを主催しているフルカワ・ダニエル氏、サンパウロ州政府の官房長官タカハシ・カルロス氏、市会議員のノムラ・アウレリオ氏、在サンパウロ日本国総領事野口泰氏など、約79組織から400名が参加しました。フルカワ・ダニエル氏の祖父は岐阜県出身だそうです。メキシコ移民の歴史は南米移民より古く、その資料は日本にもないそうです。多数の移民がモンテレイ市から北米に移り住んだそうです。ブラジル岐阜県人会からは、長屋充良会長ベッチ様夫妻、長尾ジョージ昇会計理事、佐久間ソニア理事が出席しました。

メキシコ国モンテレイ市で日本祭りを主催しているフルカワ・ダニエル氏

この第2回シンポジウムに参加することは、非常に有意義でありました。午前8時から午後5時半まで、ブラジル日本両国の関係(在サンパウロ日本国総領事野口泰氏)、ブラジル2020年のマクロ経済シナリオ、日本祭りの価値の創造と資金調達、企業、公権力やボランティアの協力を得る手段、メキシコ国モンテレイ市、ブラジル国リオデジャネイロ市やマットグロッソドスール州カンポグランデ市の日本祭りの紹介、世界を変革するテクノロジー、郷土食のチャレンジと経験、日本祭りに於ける太鼓の貢献とインパクト、ボランティアの育成、日本文化の倫理とおもてなしの実践、市の政治に於ける日本祭りの重要性など、意義ある議題を紹介していただき、活発に討論されました。

郷土食から始まり、コスプレなど現代的文化を包摂し、老若男女に喜ばれる祭りに成長したサンパウロ日本祭りは、世界一の規模を誇ります。多数のブラジル人が来場しており、日本文化の紹介に大きく貢献しています。特に日本食が喜ばれ、現在ではサンパウロ市内では、日本食レストランの数がシュラスカリア(ブラジル特有の炭火で焼いた肉を提供する)の数を上回っています。

最後に同シンポジウムのサンパウロ日本祭り実行委員長である谷口ジョゼ氏が「各地の日本祭りには魂が込められている。年々コストが上昇するなど難しさはあるが、協力し合い、各地の日本祭りを共に盛り上げていきましょう」と激励しました。

今年のサンパウロ日本祭りの開催実施に際して、コロナウイルスによる災禍を懸念して、ブラジル日本都道府県人会連合会(山田康夫会長)が、2020年7月に予定していた第23回「日本祭り」(谷口ジョゼ実行委員長)を中止するとの決断を3月17日に発表しました。

今週、サンパウロ市行政は「非常事態宣言」を出し、サンパウロ州政府もイベント中止、非常に重要な業務以外(例えば、薬科店、病院、スーパーマーケット、食料品店、ガソリンスタンド、地下鉄、バス、汽車)の営業の一時停止、銀行など営業時間短縮などの緊急対処策を次々と発表しました。ブラジル日系社会最大の祭典である、サンパウロ日本祭りの中止もやむを得ない処置になりました。

シンポジウム、交歓カクテルが終わった後、約46名の参加者がJapan Foundation(国際交流基金)、ブラジル日本文化福祉協会(文協)、日伯援護協会(援協)が共催するデジタル日本-マップされた投影イベントを見学するために、イビラプエーラ公園内にある日本館を訪れましたが、コロナウイルスによる災禍のために、閉館されていました。

この日本館は、岐阜県の建築職人による熟練された技法が駆使されて建設されたものです。石庭、錦鯉の池など、日本独特の庭が再現されています。石庭、枯山水(かれさんすい)は、池や川などを使わず、石や砂などで風景を表現する日本庭園の様式のひとつです。1954年、サンパウロ市創立400年を記念して、日系移民が「日本庭園」または「日本館」をイビラプエラ公園内に作ってサンパウロ市に贈ったものです。京都の桂離宮をかたどって作製されています。館内には陶芸品、武者の装備や道具、掛け軸などが保管されており、現在は文協が管理しています。

シンポジウム後、幸いにも和太鼓演奏は中止されませんでした。和太鼓「生(しょう)」の木下節生(42、二世)さんのチームが約1時間、魂を込めて太鼓を打ち続けました。和太鼓の鼓動は、心を揺さぶります。なお、「生(しょう)」は音楽療法士である木下節生さんとその妻である岩本光惠さんが2002年にブラジルと日本の文化を融合する目的で作った和太鼓チームです。

(原稿:岐阜県人会会計理事 長尾ジョージ昇)

 

 

災禍から学ぶ!

昨年暮れから始まった新コロナウィルスの猛威は、止まる事無く外出禁止と不自由な生活を強いられております。

事の始まりである中国武漢市では、ホンダなど現地工場の生産再開と終息感が漂っておりますが、一方では、スペイン、イタリア等ヨーロッパ諸国、北米またブラジルでは爆発的に感染が広がっており、医療崩壊を招くのでは…と、危惧され、問題は長期化、深刻化しています。

WHOは「全世界で感染者が何百万人、死者が何十万人にも達するだろう」という、とてつもない数字の見通しを示しております。まさしく我々人類とウィルスとの”全面戦争”となっており、不安な毎日であります。

外出禁止という非常事態の中で、誰もが社会共同体の一員として、理解、協力し、我慢を強いられており、いまだ戦いは真っ最中ではありますが、我々人類はこの災難から何を学ぶのでしょうか?

科学至上主義の現代であるものの、未知のものに対するさを曝け出し、これが人類への黙示録、警告なのでしょうか?
“当たり前のことが当たり前ではない!”

外出禁止によって、仕事ができない、やりたいことができない、人に会えない、経済的困窮など,見えない敵に対する恐怖にまれ、先が見通せない、緊張の連続で心身ともに疲れ切っています。

しかしながらその反面、自宅に留まり、時間的余裕によって色々なことを考えるいい機会ともなりました。

当たり前のことができない今、自分の人生を見つめ直すことができ、日々平々凡々と過ごす事が、どんなに大切なのか、意味のある事なのか、しかも健康である事が何よりも大事なことか、1人で生きているわけではない、社会という共同体の中で生かされている、そんなことを今回の災禍によって再認識することができたと思います。

「冬は必ず春となる!」

必ずいつかこの災難のが来る事を信じて、今しばらく我慢しましょう!

共同体の一員として助け合い、励まし合っていきましょう!

(原稿:岐阜県人会会長 長屋充良)

 

 

2020年3月の出来事

  • 2月25日
    • JICA派遣のボランティアで北伯ベレン市の日本人学校教諭に勤務する杉本容子さんが来聖し、長屋会長夫妻と面談、会食。
  • 1日
    • ブラジルNGK社長の田辺氏(中津川市出身)がブラジル勤務を終え、日本へ本帰国ということで、県人会有志が歓送会を聖市のレストランで催す。田辺夫婦は日本祭りや県人会旅行など県人活動に参加。帰国により郡上踊り普及のために帯や下駄を県人会に寄贈される。
  • 5日
    • 県庁から令和元年度の補助金額の確定通知が届く。
  • 7日
    • 県連日本祭り関連会合に長屋会長夫妻、佐久間ソニア書記理事が参加。
  • 10日
    • 中田アンジェロ氏の在留資格認定証明書が県庁から届く。
  • 11日
    • 長屋会長、橋本絵画展委員長が宮坂財団の松尾氏と絵画展支援について昼食面談。
      Ilha Grandeへの小旅行のバス代金とPousada Nautilus宿泊代金を支払い完了。
  • 13日
    • 第2回シンポジウムに長屋会長夫妻、佐久間ソニア書記理事、長尾ジョージ会計理事参加。
    • 全伯ならびに中南米の日系リーダーが集まり、活動報告。メキシコ日系人会会長の古川ダニエル会長の祖父は郡上市の出身。
  • 16日
    • Ilha Grande 小旅行はコロナヴィルス拡散予防の為、アングラ市へのバス乗り入れ禁止の為キャンセルとなる。
    • Pousada Nautilus宿泊代金とバス代金が返金される。
  • 17日
    • 旅行参加予定者に代金を返金。
  • 18日
    • 長屋会長と橋本絵画展委員長が在サンパウロ日本総領事の日本文化担当の渡辺宗太氏を訪問する。
  • 19日
    • 絵画展の会合を4月14日に予定していたが、コロナウイルスCOVID-19の為キャンセル。
  • 23日
    • 事務所はこの日から閉め、事務員は自宅勤務を開始。
  • 24日
    • 県庁から補助金振込の連絡がある。
  • 26日
    • 県連代表者会。
  • 28日
    • コロナウィルス対策の為、郡上踊りの練習、定期理事会を中止。

 

 

2020年3月定例理事会議事録要旨

  • 日時:2020年3月28日(土)に予定されていた定例理事会はCOVID-19のために中止。
  • 次回の理事会は未定。