会報 2018年05月

長屋会長の巡回会員訪問

4月9日~4月19日の間、長屋会長は就任ご挨拶と今年7月29日に開催される周年記念式典の招待状をお渡しするため、岐阜県庁を皮切りに県内の市町村、民間企業や団体等をハードなスケジュールをこなしながら訪問された。

帰伯してからは各地の会員宅を訪問したいと、帰国して3日目となる4月22日(日)に早速プランを実行。午前8時にサンベルナルド・ド・カンポ市の市役所前で杉村紀彦会員が我々と合流し、一路マウア市の小島康一元副会長宅へと向かう。

サント・アンドレ市経由でエスタード通り(Avenida do Estado)よりマウア市内を通過。かつて、何度か訪問した記憶が僅かに蘇ってくるのだが、当時、道路の両サイドは緑で囲まれていた。その風景は一変して、延々と家が建ち並び、大きく変わってしまっていたのには驚いた。昔の面影を追うどころか、変貌した道のりで道に迷う程だったが、さすが長屋会長の車はGPSが搭載されており、(時代の流れを感じさせる運転?)で小島元副会長の製陶工場へ到着。小島氏は我々の訪問を快く迎えてくれ、早速、工場を案内し、製陶の工程の説明をしてくれた。2階に面するフロアーは事務所を兼ねた美術品のエリアで、昔懐かしいタイプライターや計算機等も展示されており、ビックリするばかり。絵画は自作品以外の有名画家の品や陶芸品も所狭しと陳列されており、ちょっとした美術館に相当する規模で、個人の趣味を超えた素晴らしい施設だった。


個人所蔵とは思えない程立派な小島康一さんの美術館で

本題に入ると、小島元副会長は長屋新会長に対し、激励の言葉や式典に向けた話題で盛りあがった。小島氏のご厚意により、マウア市内に住む奥谷澄男会員宅へ案内していただき、初めて奥谷氏とお会いする機会を得た。

小島氏と杉村氏に別れを告げ、次の目的地のグァラレマ市へと向かう。ドゥトラ街道をリオ・デ・ジャネイロ方向に向かって走行すると、グァラレマ市に入る案内標識が見え、さくら植民地(Colonia Cerejeira)へと快適なエンジンの音を聴きながら、農村地帯を走って行き、無事に土田加津司会員宅へ到着。

まず、記念式典の招待状をお渡しし、ご出席をお願いする。土田氏は次男のオスカーさんと共にバラ栽培やラン栽培に力をいれているそうだ。オスカーさんはCEAGESP(サンパウロ総合物流倉庫センター)や海岸に面するグァルジャー市へ毎日早朝からトラック搬送と販売を担っているとの事。この日は仕事が一段落したせいか、いろいろと業界の話等を聞かせてくれた。小川を挟んだ反対側に、やはり岐阜県郡上出身の山内一豊会員がお住まいで、オスカーさんの道案内で山内氏を訪問。

さくら植民地(旧岐阜県村)へ入植され58年。当時のことを「電気や水道も無いスタートだった」と思い出すように語られていたのが印象的だった。今ではお孫さんも花卉農園を継がれ、デンファレン、オンシジュームを手掛けているそうだ。いま、若い世代の人たちがどんどんと農業を離れて行く中で、同植民地へ入った子孫たちは頑張っているなぁとつくづく感動した。5年ごとに行われる今回の周年記念式典には「是非ご家族一同でご出席を」と、招待状を渡し、山内宅を後にした。

次はモジ・ダス・クルーゼス市外のゴルフ場で、芝の整備をされている高井伸慈会員を訪ねたのだが残念ながら不在。そこでアイルトン・セナ街道を通り、ロド・アネ―ル(環線道路を)を通り、帰路についた。

5月26日(土)は、ジャカレイ市の会員宅を訪問する予定だったが、気がかりなことは1週間前から、ブラジル全土でディーゼル油の高騰に伴い、トラック運転手のストが決行された事によって、トラックが街道沿いに居並び、食料品や燃料(ガソリン、ガス、エタノール)の物流がストップ。そのために、ガソリン・ポストでの給油がままならない。一時は訪問が危ぶまれたが、長屋会長の意思は変わらず、計画を断行。モエマ区で診療所を営んでいる長屋カイロプラクティック診療所を午後1時に出発。普段はサンパウロの中心街やチエテ川沿いの道路は、絶えず渋滞状態だが、さすがにこの日はガソリンポストが閉鎖のため、走行車の数は少ない。ドゥトラ街道に入ると、アルジャー市近辺の手前ではトラックの群れが固まって止まっており、通行を阻止されるかと緊張したが、難なくフリーパス。

ジャカレイ市内にお住いの高井伸慈氏のお宅へ予定の時間通りに到着。マンションに案内されると、御家族の方々が待っていてくれた。式典の概略説明を話そうとした所、同じマンションには馬場憲司会員もお住まいとの事で、早速、来て頂き、一緒に長屋会長より説明させて頂いた。

「次世代の子孫に県人会の歴史を知るきっかけとなって欲しい」と、ポ語版の100年の歩みを贈呈。「県人会」の存在、すなわち、共同体意識に対する根源の重要性を理解して頂き、「将来の県人会の賛同者となって、団体を支えて戴きたい」とお願いし、高井伸慈氏宅を後にした。

同市内で車のアクセサリー装備販売店を営む吉田ニュートン氏を訪ねたが、予定時間をかなりオーバーしてしまったので電話で連絡を取ると、わざわざ自宅から出直して会いにきてくれた。整備整頓された店内から二階(ブラジルで言う一階)に上がると、事務所、部品倉庫が設けられており、その一角にある応接間でお話をすることができた。吉田ニュートン氏(2世)は、父から受け継いだ日系人の教えを大事にしている数少ない地方会員の一人だ。吉田氏には、トラックの街道ストにも関わらず会長が訪問したことを大変喜んでいただき、日系人の団体に対する考え方などについて、率直な意見を述べられた。 長屋会長も真剣に耳を傾け、意見を交わしながら、何かヒントを得たのではないだろうか。ポ語版の100年の歩みを贈呈し、「一人でも多くの新会員勧誘に繋がって欲しい」と理解を求められる姿勢は、長屋会長が今後の県人会活性化に向ける強い意志のように思われた。

既に午後5時を回り、帰途の途中でトラックのストに巻き込まれないよう今回の訪問を終えたが、非常に意義深い会員宅訪問であった。

時差ボケにもトラックのストにも負けずに奔走した長屋会長の意気込みが皆に伝わったことと信じている。


ジャカレイ市の吉田ニュートン氏の店内で左から吉田氏と長屋会長

(寄稿:ブラジル岐阜県人会マネージャー 坂野 政信)

 

 

日本語能力試験に見る受験応募者

私は、リオデジャネイロ州の日本語普及会に関係している者で、2017年度の日本語能力試験で感じた事を書いてみます。

ブラジルで実施される日本語能力試験について、私が説明するのは、おかしいと思われるが、これを知っておかないと前に進めませんので、説明します。

日本の国際協力基金(FUNDAÇÃO JAPÃO)が、世界各地で年2回、日本語学習者に対して行う検定試験です。5段階のレベルに分けて実施されます。

ブラジルではブラジル日本語センター(CBLJ)が国際協力基金から委託され、毎年12月の第一日曜日に実施しています。(ブラジルは年一回)

ブラジルでの試験会場は八か所あります。サンパウロ(2356名)、ロンドリーナ(240名)、ベレン(123名)、リオデジャネイロ(403名)、ポルトアレグレ(136名)ブラジリア(245名)、サルバドール(51名)、マナウス(133名)かっこの数字は2017年度の応募者数です、合計3687名。

リオデジャネイロ地区はリオ州、ミナス州、エスピリットサント州の学習者が対象です。リオ連盟がブラジル日本語センター(CBLJ)から委託され実施しています。

リオ地区の応募者は、2016年は269名、2017年は403名で134名(50%)の増加です。増加の原因として、学習者の増加が考えられますが、5段階の全レベルで増えていることから、少し時間をかけて調べます。あえて言えば2016年のオリンピックの影響でしょう、オリンピック期間中、アルバイトをしたり、授業もなく勉強はしなかった等で、今年は勉強して、受験に挑んだのでは。

リオ地区の応募者は403名、その内、日系人の名前を持つ応募者は44名(11%)、他の359名(89%)はブラジル人の学習者でした。地方のコロニア運営の日本語学校は別として、リオ地区では、ブラジル人の先生が、ブラジル人の生徒に日本語を教えているのが現状です。

日系人の日本語離れは何年も前からです、「日本語より英語」と言った考え方に、あえて反論しません。最近聞くことは「平社員の時は、日本語を必要としなかったが、会社内で重要な地位に就いたら、日本及び日本人との対応などで日本語の必要性を感じる。」また、「日本語を勉強する年令の時、近くに日本語学校がなかったから、日本語を勉強しなかった」と言われない様、親達は少しの犠牲を払っても日本語教育に力を入れるべきと思います。日系人の日本語離れ、ブラジル人の日本語取得の増加、この相反する流れを、どの様に理解すればよいか、皆様、良く考えて下さい。

(リオデジャネイロ在住 山田 和三 会員)

 

 

2018年4月の出来事

  • 2日 ブラジル移民日本110周年記念式典委員会よりブラジル日本移民110周年記念式典の招待状を受け取る。
  • 3日
    • 岐阜県庁より平成29年度補助金額の確定通知(原本)を受領。
    • 事務所トイレのタイル剥がれの修理見積もり依頼。
  • 4日 長屋会長の就任挨拶と周年式典の招待状を携え、岐阜県を訪問。
  • 10日 元会員の熊谷誠一氏(故人)の孫にあたる宮原ミユキ氏(三世)が来所。
  • 12日 第14回日伯友情交流絵画展の会場となる在サンパウロ総領事館多目的ホールの使用申請書を提出。
  • 13日 第39回岐阜県農業高校生海外実習派遣団報告書を同事業に関連された方々へ郵送並びに手渡す。
  • 13日 JICAの村上ビセンテ氏を坂野MGが訪問。
  • 18日 在サンパウロ総領事館に申請中だった第14回日伯友情交流絵画展の共催書類が認可される。
  • 19日 定例理事会が開催。
  • 20日 会報3月号・319号の日語・ポ語郵送。
  • 24日 第14回日伯友情交流絵画展の委員会が発足され、山田彦次委員長のもとに、小田エウザ氏、加藤氏、西尾氏メンバーが集まり、第1回目の打合せが行われた。
  • 25日 本年度の絵画展の支援を要請するために、山田彦次委員長は、宮坂国人財団の松尾治氏を訪問。
  • 26日 県連代表者会議に長屋充良会長が出席。

 

 

4月定例理事会議事録要旨

  • 日時: 2018年4月19日 (木) 午後5時~
  • 出席者: 長屋充良会長、日比野健一(会計理事)、金子亨資(書記理事)、橋詰二朗(理事)、日比野亘(理事)、大野美夏(理事)、坂野政信(マネージャー)、影山六男(事務員)
  • 審議内容
    1. 金子書記理事が3月の業務報告を行い、了承された。
    2. 日比野会計理事が3月の会計報告を行い、了承された。
    3.  周年記念式典の進捗報告
      • 記念品の見積書、パーティーの見積書、式典場の契約書等は既に手配済み。
      • ペンディング事項:会場内の飾付、音響関係、人員確保(ボランティア)、警備、印刷関係等は更に価格交渉が必要。
    4.  長屋会長の出張報告:
      • 慶祝団のメンバーで主だった来賓について、知事あるいは副知事の出席はほぼ確定。また、岐阜市長、美濃加茂市長、郡上市長の来伯は可能性が高いが、中津川市長は10月に予定されているレジストロ姉妹都市の祝賀会に来伯のために、今回の式典には不参加。一般法人団体国際クラブからは、青山るみ理事長、高橋雄造専務理事と共に歌手の大城バネッサ氏が式典のアトラクションショーに出演。中島工務店・中島紀于社長も来伯が予定されている。
      • なお、岐阜県庁でのミーティングでは、県より贈呈される表彰状の推薦者を書類をもって提出。県が招へいする将来の県人会を担う、若手リーダー2名の推薦、県費留学生の日語能力のレベル緩和等について話し合いが行われた事が報告された。岐阜県教育委員会においては、農業高校生の実習内容を再検討する必要性について意見が交わされた。揖斐川マラソンツアーについては、委員会の方々とお会いし、該当者の募集を実施中であることを伝える。
    5. 次回理事会  2018年5月2日(水) 17時~