会報 2018年04月

岐阜県訪問報告

長屋会長より

去る4月4日より19日までブラジル岐阜県人会会長就任挨拶ならびに岐阜県人ブラジル移住105周年、ブラジル岐阜県人会創立80周年、岐阜県農業高校生海外実習派遣40年記念式典の招待状を持って、官公庁政財界市町村長をお伺いしました。

実質6日間のハードな行程でしたが、色々な方と出会い、とても興味深く有意義な時を過ごさせて頂きました。


古田肇岐阜県知事(左)と面談する長屋会長

県庁国際交流課(前国際戦略推進課)の管理調整監兼多文化共生推進監の江尻長門氏がすべてアレンジして、また車まで出して同伴して下さり、本当に助かりました。

初日は、国際交流課の江尻氏、矢崎係長はじめ課の方々と顔合わせをさせて頂き、村下貴夫岐阜県県議会議長との面談をさせて頂きました。

村下議長は、養老のご出身で、とても気さくなジェントルマンでした。 記念式典の御招待状を直接お渡しすることができました。 その場での御参加の可否はもちろん得られませんでしたが、来伯して頂きたいと心より思いました。

岐阜の近況や一昨年の「君の名は」「聲の形」等岐阜を舞台にしたアニメブーム、その反響で昨年はアニメ聖地巡礼による観光客の大幅アップ、そして今年4月に放映が開始されたNHKの朝ドラ「半分、青い!」等、岐阜が大変ブームになっていることへの喜びを申し上げました。 ただその反面、2016年の週刊プレジデントによる郷土愛アンケートで、岐阜県は愛着度部門で下位から3番目。 自慢度においては最下位という、恥ずべき結果となっております。 そうした現状を鑑み、県議会議長にお話しさせて頂いたのは、もっと岐阜県の良さを再確認するべきで、例えば「岐阜県人サミット」みたいなものを県が催して、世界の岐阜県人が一同に会し、「岐阜県」を学ぼう!と、訴えさせて頂きました。 村下議長とは話が盛り上がり、予定時間をオーバーする程でして、有意義な面談となりました。


村下貴夫県議会議長(左)と長屋会長

次に古田肇岐阜県知事との面談となりました。 古田県知事にも先に村下議長へご提案させて頂いた「岐阜県人サミット」などのお話をさせて頂きました。

年度はじめの御多忙中にお伺いし、誠に申し訳なく恐縮しましたが、たくさんの話をさせて頂きました。 前述の岐阜県人サミット、小中学生のサッカー交流、いびがわマラソン、県費留学の日本語検定2級の見直し、岐阜県事務所をブラジル岐阜県人会内に設置要請、現在のブラジル岐阜県人会の現状報告、来年の日本祭りへの参加希望などを述べさせて頂きました。 そして今回の訪問目的である、記念式典へのご参列要請ですが、残念ながら、参加の確証は頂けませんでした。

知事との面談後、新聞社3社から取材を受け、記念式典の事や県人会の現状報告、将来への展望等をお話しさせて頂きました。

その後、神門(ごうど)純一岐阜県副知事にご挨拶させて頂き、記念式典の招待状を手渡し、引き続き、岐阜県教育委員会の安福正寿教育長とも面談させて頂きました。

安福教育長との面談では、農業高校生海外実習派遣への継続した支援と協力をお願いし、またお誓いしました。 と申しますのも、今回からアメリカ実習が入り、ブラジル実習が2週間から1週間に短縮されましたことに対する危惧を申し上げました。 受け入れ体制に対する改善や連絡を密にすることで、縮小ではなく深く長いお付き合いの継続を訴えました。

また小中学生のサッカー交流もお願いし、日伯の太い絆を作ることができますよう提言致しました。

教育長との面談後、教育委員会学校支援課の神出建太朗先生に送って頂き、「ブラジル会」による小生の歓迎懇親会に参加させて頂きました。 この「ブラジル会」と言いますのは、過去に農業高校生海外実習派遣でブラジルへ引率された先生方や県庁教育委員会農業教育関係ならびに農業高校校長先生方の親睦団体であります。

会場には、岐阜県高等学校ブラジル会会長の渡邉千洋先生に出迎えて頂き、30名以上の先生方に大歓迎されました。

お礼の言葉、派遣事業に対する意義、県人会の変わらない支援継続を述べさせて頂き、記念撮影の後、何と胴上げまでして頂き、生まれて初めての経験で、感無量。 胸が一杯になりました。 大歓迎で興奮覚め止まぬまま、神出先生に宿泊先の実兄宅まで送って頂くことになりましたが、その際、参加者の皆様には車まで見送って頂き、本当に感謝感激の極みでした。 ありがとうございます。


感動の胴上げをして下さったブラジル会の皆さま

その後、深夜に関わらず、神出先生と実兄宅で2時間ほど話し込み、これからの派遣事業への突っ込んだ話をさせて頂きました。 今回のブラジル滞在縮小の背景は、学生たちに対して、激しく変動している農業教育への対応の結果で、アメリカの農業高校生との交流の必要性などの説明を受けました。 そうした現状を理解しつつも、ブラジル農業の先駆者との語らいや40年という歴史、ハイテク農業の対応も大事かもしれないけど、未開の土地を切り開き、土を作り、物を作り、人を作る農業の原点、所謂「拓魂」を体感するのは、ブラジルにおいて他にないと、訴えさせて頂きました。 この事業がこの先50年、100年と継続するよう願うばかりです。

1日置いて午前中は、岐阜放送と岐阜新聞の名誉会長である杉山幹夫氏との面談です。 5年ぶりの再会でしたが、この7月に92歳になられるとのことでしたが、顔の艶も良く、まったくお歳を感じさせず、矍鑠(かくしゃく)としておられました。 記念式典の招待状をお渡しし、今までの県人会への多大なる御貢献に感謝を申し上げ、変わらぬご支援をお願い致しました。 特に2回に渡るサンパウロでの花火大会開催、南米大陸を自社ランドクルーザーで取材をされたことなど、話は尽きませんでした。 さすが、自他共に認める「ブラキチ」そのもので、ブラジルへの思い入れは、大変強いものがあると感じました。


92歳とは思えない若々しい岐阜放送と岐阜新聞の杉山幹夫名誉会長(左)と長屋会長

次に訪問先は揖斐川町の富田和弘町長です。 当地はブラジル岐阜県人会理事の大野美夏さんの故郷です。 その縁で申し込み30分でエントリー締め切りという大人気の「いびがわマラソン」にブラジル人枠20名を設けて頂きました。 ブラジルとの交流を深めたいという事で、詳細を煮詰めに参りました。 また、記念式典の記念品として、揖斐茶の選定も行わせて頂きました。 いびがわマラソンの宿泊施設は14世紀に建立された瑞巌寺で、そちらを視察させて頂きました。 また、大野理事の生家を訪問し、母上様ともお目にかかりました。 素晴らしいお母様でした。 揖斐川町訪問を終え、その夜は、国際交流課の歓迎会でした。

翌日は公用車にて、郡上市の日置敏明市長との面談でした。 岐阜県のブラジル移住は105年前、11家族44名から始まりました。 その内8家族が郡上市の出身で、特に西和良村の出身者が大部分です。 我々ブラジル岐阜県人移住のルーツになります。 市のお話を当誌「100年の歩み」を贈呈しながら説明させて頂き、市長、市会議長と共に記念式典へのご参加のお返事を頂きました。 ありがたいことです。 だだその際に、郡上出身者との懇談をご希望され、ブラジル岐阜県人会事務局にて、ピックアップして市の方にご報告させて頂き、第1回移民のご子息がご健全である事も判明致しました。 橋詰二朗ブラジル岐阜県人会理事も郡上市出身者です。

午後は多治見市まで移動し、TYK(東京窯業株式会社)の牛込進会長とお会いしました。 年商250億円の大企業のオーナーとの面談で、「ブラジル進出の為に、将来ブラジル社長になるような人材を県人会に紹介して欲しい」と頼まれました。 こういったこともブラジル岐阜県人会が窓口として果たせる、大きな役割のひとつではないかと思いました。 この面会で、ちょっとしたハプニングがありました。 牛込会長より記帳を促され、ただ名前を書くだけと思い、軽く受けましたが、何と外国の要人が記帳するようなもので、モンブランの太い万年筆を出されました。 自分の教養不足を嘆く余裕もなく、座右の銘など無く、3分間程、頭が真っ白になり、固まってしまいました。 結局、「岐伯の架け橋として、頑張ります。 ブラジル岐阜県人会 会長 長屋充良」と小学生でも書けるようなものを揮毫しました。 しばらくこのアクシデントから落ち込みました。 もっと勉強して、長としての人格と人間としての深みというものを養わなければならないと、痛感させられた出来事でした。 ですが、まぁそこは持ち前のプラス志向で、どうにか乗り越え、次の日は美濃加茂市の伊藤誠一市長と面談致しました。

現在一万人弱のブラジル人が、岐阜県内に住んでいまして、その内二千人のブラジル人が、美濃加茂市に住んでいます。 というのもSONYが撤退した後も同地に定住しているからだそうで、出稼ぎも定住型となり、地域に溶け込んでいるそうです。

その後は、小生の地元である関市の尾関健治市長との面談でした。 今回、ポルトガルを訪問するので、ブラジルへは行けないとのことで、非常に残念でしたが、来年は関市モジ・ダス・クルーゼス市姉妹都市締結50周年になると進言し、「来年は必ず行く」とのお言葉を頂きました。

続いて、今年38歳で就任された岐阜市の柴橋正直市長との面談です。 一般的には、我々訪問客が応接間でお待ちし、知事なり市長なりをお迎えするのですが、柴橋市長は、先に応接間でお待ちになって下さり、庶民派というか、その若さからくるフットワークの軽さ、行動力を感じました。 受け答えもはっきりしていて、とても良い印象を受けました。 式典にご出席して下さるとの事で、サンパウロでお会いできることが今から楽しみであります。

週末を挟んで、最後2日の月曜日は、車で2時間強の中津川市訪問です。 中津川市の青山節児市長との面談では、中津川市はレジストロ市と姉妹都市で交流が盛んですから、この10月にも記念式典があり、来伯して下さいます。 我々ブラジル岐阜県人会としましても、今後ますますご支援をさせて頂き、式典にはバスを連ねて参加したいと思っております。

さらに中津川市の加子母村には中島工務店中島紀于社長がいらっしゃいますので会いにお伺いしました。 ブラキチの中島社長は、相変わらずバリバリとお仕事をしていらっしゃいました。 お忙しい中、沢山の企業グループの各所を案内して下さいました。 前夜、時差ボケで夜中起きてしまい、眠れず、「100年の歩み」を読んでて、中島社長のことがよく出ているので、一体どれくらい名前が出てくるか数えましたら、何と13回も出ていました。 さすがブラジルと深い繋がりを持っている大恩人であるという事をしみじみと再確認しました。


満開の桜の下で中島工務店の中島紀于社長(左)との再会

また、ジャパンハウスで日本のモノを売っていらっしゃる深田さんたちが偶然、中島工務店に買い付けに来ていらして、お会いすることもできました。

最後の日は、羽島市の財団法人・国際クラブの青山馥オーナーと青山るみ理事長に会いに参りました。

5年前と2年前続けて過分なるご支援を賜り、また今回、前回以上のご援助を賜ることになりました。

感謝してもしきれないほどの御恩であります。 本当にありがとうございます。 また式典には、アルゼンチン2世で、NHKのど自慢世界大会で優勝した同財団所属の大城バネッサさんの公演もご提供くださるとの事です。 さらに県人会を通しての人材紹介を頼まれました。 県人会として、新しい活動が出来る事となり、感謝感激であります。


左から青山馥オーナー、長屋会長、青山るみ理事長、青山英世理事長

今回の母県訪問の最後は、大垣市に移動し、少年サッカーの交流で一般社団法人の西濃シティー高木政人代表理事とお目にかかりました。 これこそが将来の日伯を結ぶ架け橋になる事業で、是非、実現したいと誓い合いました。

こうして、母県訪問を無事終え、多大なる成果を出すことができたと、自負しております。

特に、県庁国際交流課の江尻氏をはじめ関係者の方々の誠心誠意のご応対のお陰であります。 この紙上をお借りし、心より感謝申し上げます。

いくつかのプロジェクトの実現に向けて、我々県人会の理事が一丸となって、滅私奉公!努力していく覚悟でありますので、どうか皆様のご理解とご協力をお願いして、母県訪問の報告とさせていただきます。

(原稿:ブラジル岐阜県人会会長 長屋充良・岐阜県関市出身)

 

 

2018年3月の出来事

  • 2日  第一回目の臨時理事会議が開催される。
  • 4日  長屋会長、坂野MGがコロニア・ピニャールへ会長就任の挨拶を兼ねてブドウ祭りへ訪問。
  • 6日  海外戦略推進課の宇野氏より県庁のホームページ更新用にブラジル岐阜県人会の役員や主な事業等のデーター要請があり、新体制の理事および監事名や事業計画に基づいたデーターを送付。
  • 7日  長屋会長は就任挨拶の為に、午前中に邦字新聞2社および宮坂国人財団の松尾治氏を訪問。 午後からは在聖日本国領事館の野口泰総領事、文化班の平野恭子副領事を訪問。 山田彦次顧問も同行し、絵画展共催依頼を兼ね御挨拶。
  • 8日  遠藤三男会員(郡上市出身)のご夫人より連絡があり、昨年(2017年)の5月に亡くなられた旨が伝えられた。
  • 13日  会報2月度、318号の日語、ポルトガル語を郵送。
  • 16日  第39回岐阜県農業高校生海外実習派遣団の報告書80冊が船便で到着。
  • 17日  長屋会長就任に伴い、役員と会員との交流強化のために、シュラスコ会が国井副会長宅で催された。
  • 18日  長屋会長と坂野MGがレジストロ市の清水エリーザ宅を訪問。その折に中津川市・レジストロ市姉妹都市友好協会の高橋国彦会長とも会談。午後はカンピーナス日伯文化協会の花田忠義会長と岐阜市・カンピーナス市姉妹都市友好協会の国際担当ディレクターとも会談が行われた。(詳細は3月号No.319)
  • 21日
    • 今年度の絵画展開催時期につき山田彦次絵画展委員長と影山事務局員が総領事館文化班の平野恭子副領事を訪問。
    • 定例理事会を開催。
  • 26日  総会議事録を第3登記所へ提出。登記完了予定日は4月10日頃。
  • 27日  岐阜県庁より送金された2017年度の補助金の入金確定がSantander銀行より通達された。
  • 29日  補助金の為替決済をSantander銀行と行い、午後には県人会の銀行口座に入金が確認された。

 

 

3月臨時理事会議事録要旨

  • 日時  2018年3月2日(土) 午後5時~
  • 出席者  長屋充良会長、国井宏祐副会長、日比野健一(会計理事)、金子亨資(書記理事)、橋詰二朗(理事)、日比野亘(理事)、大野美夏(理事)、渡辺量平リカルド(理事)、坂野政信(マネージャー)、影山六男(事務員)
  • 審議内容
    1. 新体制が発足されて第1回目となる新会長の長屋充良氏の今期に向ける目標が発表された。
    2. 昨日(3月1日)、長屋会長が初めて出席した県連代表者会議の資料を役員一同に配布した後に会議が進められた。
    3.  県連主催の日本祭りへの参加
      • A. 来年こそは是非、日本祭りへ参加したく、やまと商事会社の高木和博のご理解とご協力によりノウハウを仰ぎ、出店したい考えが述べられた。
      • B.会場内で働くスタッフの確保は県人会員に留まらず、県人会関係者の友人や知人の協力を得る事で実現させたい。
      • C.今まで出店された他県の実績報告によれば、それなりに収益に繋がり、負債には至ってない模様。
      • D.出店物は岐阜名物、あるいは一般的に売れ筋の品を揃えるかは更なる検討を要す。
    4. 課題も色々とあることながら、全員が結束してこの事業を成功に導いて行くように努力にして欲しいとコメント。
    5. 県人会の会館については、リベルダーデ界隈から離れ、小さな物件でも自己資金で賄える会館を設ける努力を役員一同が結束して進めて欲しい。
    6. 7月29日(日)の県人会式典は単なるイベント行事に留まらず、人的交流促進の大きな機会となることから、全員が率先して対応して戴きたいとコメント。
    7. 岐阜県人会役員は山田彦次顧問をComenda Kasato Maru-に推薦する事を決定。
    8. 揖斐川マラソン参加者募集
    9. 7月29日の記念式典実行委員会が発足され、職務担当者が決まる。 実行委員長:長屋充良氏、財務担当/送迎用車両担当:日比野健一、日比野亘、受付担当:橋詰
      二朗氏、場内担当:国井宏祐氏、舞台担当:渡辺量平リカルド氏、渉外担当:金子亭資氏、総務担当:坂野政信氏
    10. 長屋充良会長の訪日目的は会長就任の挨拶と式典招待状の配布の為で県庁、教育委員会、ブラジル会、市町村そして民間団体等を訪問。

 

 

2018年3月定例理事会議事録要旨

  • 日時  2018年3月21日 (土) 午後5時
  • 出席者  長屋充良会長、日比野健一(会計理事)、金子亨資(書記理事)、橋詰二朗(理事)、日比野亘(理事)、大野美夏(理事)、渡辺量平リカルド(理事)、坂野政信(マネージャー)、影山六男(事務員)
  • 審議内容
    1. 金子書記理事が2月の業務報告を行い、了承された。
    2. 日比野会計理事が2月の会計報告を行い、了承された。
    3. 周年記念式典の進捗状況が報告され、実行委員会のメンバーは業務内容の具体的な対処、予算計画、人員確保等について、突っ込んだ審議が行われた。各担当者は計画に沿って順次実行中だと報告があったが、「更なる決意のもとに一丸となって業務を進めて欲しい」と長屋充良実行委員長より要請が出された。
    4. 定款変更について審議されたが、結論に至らず、今後も審議を継続して行く事で合意。
    5. 事務局員の雇用条件の改正に関しては、式典終了後に改めて審議を行う事で合意。
    6. ブラジル岐阜県人会の理事会は、長年会長職を担った山田彦次氏をComenda Kasato Maruの推薦にと働きかけたが、山田彦次氏はこれを固辞。
    7. 岐阜県揖斐川マラソンへの参加企画が立ち上がった。ブラジルから20名の参加者の枠が確保されたことにより、参加募集活動に入る。
    8. レジストロ市、カンピーナス市への地方巡りを実施し、疎遠状況であった各市との改善に努めた事が長屋会長より報告された。これからも積極的に各市との交流を継続しながら活性化の一環として務めて行きたいとの強い意志が述べられた。
    9. 次回理事会は2018年4月19日(木)17時~