ブラジル岐阜県人会便り
インターネット版
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第285号
2015年5月

岐阜県長良川の鵜飼
風雅1300年、今に伝える感動歴史絵巻


     古い歴史がある岐阜県の長良川鵜飼は、ブラジル岐阜県人会から派遣や推薦を受け岐阜県を訪れた、県費留学生や研修生OB並びに多くの県人の方々は、何らかの形で鵜飼観覧の体験をされたことと思います。今年も「5月11日」の鵜飼開きに始まり「10月15日」までの半年間,鵜が一体となった伝統の妙技が金華山をバックに、観覧船から鵜飼を楽しむことができます。
     ブラジルに住んでおられる県出身者の皆さんを始め、ご親族や日系人の方々も含めて、訪日の折には、是非、岐阜県の「長良川鵜飼」を観覧されてはいかがでしょう。楽しい一夜が過ごせること請け合いです。
     開始時間は、午後8時から6隻の船がゆっくり川を下り始め、篝火で照らす腰箕姿の鵜匠たちが、10羽から12羽の鵜を見事な手綱裁きで「ホウーホウー」という鵜匠の掛け声で一斉に、鮎を捕る鵜たちの姿は、さながら歴史絵巻を見るような風景でもあります。
     また、長良川鵜飼の開幕から、一夜明けた5月12日、初日に捕らえた初鮎は、古田岐阜県知事、細江岐阜市長名で宮内庁に献上されたと地元紙の「岐阜新聞」では伝えています。
     尚、今年度の鵜飼見物客は、来る10月15日の閉幕まで計11万5千人の見物客を見込んでいる
 
観覧客達の見守る前で繰り広げられる鵜匠の妙技

 
 
 
 
長良川の鵜飼いの起源と歩み


     鵜飼いの鵜は渡り鳥で、野生の鵜を捕獲し、厳しい訓練をへて,一人前の鵜となります。また、鮎をつかまえ鵜を操る「鵜匠」は、明治23年からは宮内庁式部職としての身分が与えられており、長良川の鵜匠は全部で6人、世襲制度になっており代々親から技を受け継ぎ、鵜を育てる彼らの生活は現在も続いています。ちなみに、長良川の鵜飼は日本国の「重要有形民俗文化」に、また「岐阜県重要無形民族文化財」にも指定されています。
 
 
 
 
鵜匠と鵜、伝承の歴史


     《おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな》と俳人、松尾芭蕉も詠んだ長良川の鵜飼に関する記録は古く、日本書紀や古事記にも記述が見られるほどで、西暦702年「大宝2年」、1300年ほど前にまでさかのぼります。大宝元年(西暦701年)に律令が敷かれ、制度としての成文化が完成、宮内省の管轄下におかれました。
     平治の乱(平安末期)に潰走する源頼朝軍にあって父におくれ、命運尽きたと考え自害しようとした「頼朝」を救ったのは関ヶ原の鵜飼人であると言われています。
     中世以降は美濃の支配者であった土岐氏、斉藤氏,織田氏の保護下に置かれていました
     長良川での「鵜匠」という地位を確立させた「織田信長」や、江戸時代になると鮎鮨を好み江戸に献上させたと言われる「徳川家康」、さらに,尾張藩の支配地が岐阜にまで広がり、長良川の鵜飼はその支配をうけるようになったと伝えられています。
     鵜匠は全身黑装束の上、藁でつくった腰蓑をまとい,足半(わらぞうりの半分)を履き、頭はを鳥帽子風に締め、腕 は筒袖、胸には胸当のいでたちで篝火から身をまもります。
     鵜は体の大きい若い海鵜を買い入れ、風切羽を切り落とし,くちばしを削ります。餌は川魚のウグイ、ナマズ,フナ、などの餌を加減してならし,一羽一羽に名前をつけて、鵜匠との関係を深めていきます。ちなみに長良川の鵜飼用具一式は122点からなっています。
     鵜を移動させるときには、留めかごに二羽を一対にします。これを「かたらい」というそうです。このようにして鵜は、雌雄の別はわからないそうですが、不思議なことに一対の鵜はその姿が夫婦のように暮らすと言われています。
     鵜飼のシーズンが終わる10月15日からの半年は休業期となります。この間は、鵜飼を餌飼というそうです。餌飼には川餌飼、陸餌飼、泊り餌飼があるとのことですが、その範囲は長良川、鳥羽川、犀川、杭瀬川など広範囲にわたるということです。
     また、鵜は鵜籠にいれられて、昔は鵜舟やリヤーカーで運ばれ、目的地で籠から放たれた鵜は自由に魚を取り鵜匠の健康診断を受けていました。
   
スタートラインに一斉に並んで出漁の順番を待つ6隻の鵜舟鵜匠の装束

 
 
 
 
鵜が鮎を捕る業法とは、どのような手順でおこなわれるのでしょうか?


(1)まず最初に鵜の選択から始まります。
そして、体調を考慮して日出漁で訓練を受け10羽から12羽の鵜を毎日選び出します。
(2)次は鵜舟の準備にとりかかります。
篝火の薪となる松割木、吐籠など、鵜飼に必要な道具を船に積み込みます。また篝火を吊るす篝棒は樹液でスムースに動かすため。ムクゲ(木の名前)の枝葉を一緒に差し込みます。
(3)鵜かごを船に……
鵜舟の準備が済むと籠鵜にはいった鵜を船に乗せます。
(4)鵜船をまわし場所へ……
漁の準備をするために、川の上流へ鵜船を走らせます。
(5)日没を待ちます。
日没まで鵜匠は焚き火を囲んで待ちます。
(6)出漁順番はくじ引きで……
毎日6隻の出漁順を、くじ引きで決めます。
(7)鵜飼の開始
1-鵜篭から鵜を1羽ずつ取り出し,鵜の状態を見ながら手縄を結びつけていきます。
2-手縄は、喉に巻く方を首結、羽の下にたすき状にかける方を腹かけといいます。{鵜の状態や鮎の大きさにより締め具合を加減します}
3-篝火がともされ、いよいよ出漁です。
(8)これからが観覧の時間です。
鵜飼船は川岸に停泊、鵜飼が始まるまでの時間は、観覧客は観覧専用の屋形船でお食事、宴会で過ごします。仕事を終えた鵜たちは、船縁で羽を休め帰路につきます。

 

 
 
 
 
(参考資料ー岐阜県風土記、ぎふ長良川鵜飼手引)

 
 
 
 
 
鵜飼に魅せられ二度も訪れたチャップリン

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